閃光のように 第11話


特派がクラブハウスに住むことになった!
ユフィとのデートはあっさりばれた!
スザクは正座させられている!
ルルーシュとナナリーからの殺気が痛い!
咲世子とC.C.はいい気味だと笑っている!
そんな中ルルーシュはさらりと爆弾発言をした。

「ロイド、セシル。突然で悪いがシュナイゼルを裏切り、こちらにつけ」
「「え!?」」

突然の発言に二人は目を丸くし驚きの声を上げた。
その様子に、C.C.は噴き出すのをこらえルルーシュの横で肩を震わせている。

「それってどういう事かなぁ?大体君さぁ、さっきもそうだけど、仮にも皇族相手なんだから敬称は必要じゃないの?」

不敬罪になるよぉ?
自分も十分不敬罪となる発言をしているくせに、ロイドは眉を寄せ注意した。
学生が上から目線で命令してくるのも気に入らないのだろう。

「そうですよ、それに裏切れって・・・」

困惑する二人をよそに、ルルーシュは淡々とした声音で続けた。

「悪い様にはしない。ランスロットの開発も今まで通り続けてもらう。いや、むしろ資金面は優遇されるだろう」

シュナイゼルからは今まで通り搾取し、クロヴィスにも出させよう。
それはまさに悪魔のささやきだった。
ランスロットの開発費優遇。
その言葉に科学者二人は文句を言おうとしていた口を閉ざした。
お金があればあーんな装備やこーんな装備も製作できるのだ。
アイディアはあるが製作費が足りない。
お金は喉から手が出るほど欲しかった。
解りやすい二人の反応にルルーシュは予想通りだと口角を上げ、居住まいを正してから二人に向き直った。

「改めて名乗らせてもらおう。私はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。そして私の隣にいるこの可憐で愛らしい女性は私の自慢の妹、ナナリー・ヴィ・ブリタニア」
「お兄様ったら・・・」

ナナリーは頬を赤らめて俯いた。
嬉しそうな笑みを浮かべているから満更でもなさそうだ。
そんなやり取りはとりあえず放置し、ロイドは目を丸くした。

「ちょ、ちょっと待った!そのお名前、まさかガニメデ・・・じゃなくてマリアンヌ后妃の!?」
「そう、7年前にこの日本に捨てられた、庶民出の皇妃を母に持つ兄妹が私たちだ」
「で、ですが、ルルーシュ様とナナリー様は7年前の戦争で」
「死んだこととし、この身を隠した。知っているとは思うが、我が母マリアンヌはブリタニア宮殿の離宮で暗殺され、犯人は未だに捕まってはいない。その犯人が、私たち兄妹を狙う可能性は高いだろう。だからこそ私たちは皇族としての生を捨て、こうして庶民として生きる道を選んだ」

ロイドとセシルは知らず息をのんだ。
凛とした声音と気品漂うその姿。
庶民ではありえない王者の風格をこの兄妹から確かに感じる。
一つ一つの所作が優雅で洗練されており、一般人には見えないとは思っていたが、まさか死んだ皇族とは。
だがクロヴィスがここへと指示した理由に納得が出来た。
この二人が隠れ住んでいる事にクロヴィスも噛んでいるという事なのだ。
ロイドは興味を覚えたのか、楽しげに眼を細めた。

「それで、ルルーシュ殿下、ナナリー皇女殿下。私たちにシュナイゼル殿下を裏切れというのはどのような理由からでしょうか」

すっかりスザクの事など忘れ、皆真剣な話をし始めたので、スザクはこっそりと立ち上がると、そそくさとルルーシュの後ろに立った。まるで、彼の騎士のように。・・・まあ内心は夫だからね!と思っているのだが。
その姿で、ロイドとセシルはスザクもまたルルーシュ側の人間だと理解した。

「クーデターを起こす」
「クーデター!?」

ロイドがらしくなく素っ頓狂な声をあげ、セシルは声を上げることも出来ないほど驚いた。

「そうだな、まずは紹介しよう。彼女は私の共犯者C.C.。不老不死の魔女にして、シャルル・ジ・ブリタニアの共犯者だった女だ」

ルルーシュは隣に座るC.C.を紹介した。
にわかには信じられない単語が出てきたが、二人は突っ込みを入れることなく、笑いをこらえ肩をふるわせ続けていた少女を見つめた。

「プククク、ハハハハハハッ!ああそうだ、私はC.C.。シャルルの嘗ての共犯者だ」

とうとうこらえきれずに笑いながらC.C.は名乗った。
胡散臭い。
嘘臭い。
騙されてませんか殿下。
そんな視線が二人から注がれた。

「まあ、信じられないのは解るが、彼女は私の目の前で眉間を撃たれ死亡した。だが見ての通りこうして生きている。間違いなく死亡したのを私は確認したが、その後僅か数分で蘇生した」

プククククと笑いをもらしながらC.C.はこくこくと首を縦に振った。
何がおかしかったのかは解らないが、どうやら何かがツボにはまったらしい。

「更に言うならクロヴィスが独自に行っている不老不死の研究の被検体でもある」
「殿下の研究?」

初耳ですよそれ。

「当然だ、極秘で行われてる。だか、お前が望むなら研究にも加担させてやろう」

その言葉に、科学者は目をギラリと輝かせた。
なにせランスロットの研究費使い放題。
その上理想のパイロット作成に使えるかもしれない不老不死。
これはシュナイゼルに着くより美味しい!

「ですが殿下、クーデターを起こした後、どうされるのですか?」
「クロヴィスを皇帝に据え、下らない理由で始められた侵略戦争に終止符を打つ」

ちなみに俺が裏から操る事が既に決定している。

「下らない理由、ですか?ブリタニアの領地拡大のための戦争でしょ?」
「クククッ違う、間違っているぞロイド。クハハハハハ」

C.C.は笑いながらそう言った。
ルルーシュの身振りとしゃべり方を真似している為、スザクとルルーシュが不愉快そうにじろりとにらむが、それさえ楽しいという様に腹を抱えて笑い続ける。

「シャルルはな?いや、正しくはシャルルとマリアンヌ、そしてシャルルの兄とビスマルクの4人は、領土拡大なんて理由で戦争などしていない。ククククク」
「そうなの!?」

驚いた声を上げたのはスザク。

「アハハハハハッ!そうなんだよ枢木スザク。あいつらの目的はな、この世界の神を殺し、新たな神となる事だ」

C.C.は笑いすぎて涙目になりながら答えた。

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